雑記 Sedum treleasei 忍者ブログ
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「ああ、どこまで話したんだっけ?


そうだ、最近僕の心を惑わせてやまない
罪なアヤツについてだね、
回りくどい?ゴメンゴメン。

あ、それはお土産、食べてよ。
折角時間通りにカンパニュラに寄って調達してきたんだもの。


どうやって説明すればいいのか、
よくわからないんだけど・・
兎に角見た目からしてこのへんに、
ズガーンっって、

・・ああ、わかったよ、擬音はやめるよ。

あいにく、僕は
脂肪の詰まった塊を愛でることには飽々していてね。
しかもその塊、動いて喋るだろ。

ほら、今、喋ってる。ね。
忙しそうに動いてキンキンした声で笑う、
時がたつと衰える、それを嘆く。
僕は死ぬなら若いうちがいいな。
話ずれてるかな?

それ、フィルムもったまま食べてね、
たまにはクッキー生地も新鮮でしょう?


そんなもんで、
見あきた塊の数々は、
全く己の偏見にまみれた美意識にそぐわないんだ。
自分の体を疎ましいと思ったことすらある。


だからこそ、
日の光の入らない部屋で、静かに佇んでいるそれが
恐ろしいくらい羨ましく思えてね。

見た目は植物の割には丸みを帯びていて、
そう、肉質があるんだよ、
でも僕らのとは違う。

限りなく透明に近い…向こうが透けてみえるくらい…
でも安っぽい艶はないんだ。
僕の眼じゃわからないくらいの、ヴェールがかかってる。
蛍光灯の光をやわらかく纏っているように見えるんだ。

極めつけはね、その色なんだよ、

無数に付いた房ひとつひとつの先端が、
ほんのり紅く染まってる。


あぁ、それ、
…真ん中を押さえないとクリームの思うツボなんだよ、

 
 
スプリンググリーンからの、自然なグラデーション…
肉質の中で幾度も光を反射して、
僕の目に飛び込んでくる控え目な甚三紅。



・・・ちょっと、
そんな目で見ないでくれよ。

多分ね、今、頭が弱ってるから、
見えるもの聞こえるものに敏感になっているだけなんだ、
学生だった頃の僕なら、
きっと心の隅にも残らないよ、

ああ、呆れてる君の表情、嫌いじゃないよ。
甘いものが苦手なら早く言ってよ、
なんて、わざとだけどね。


それで…不思議なのは、
その子、あ、名前はわからないんだけどね、うん、調べてない。
僕が最初に見かけた時から全然変わってないんだ。
気のせいなのかな。

そんなことどうでも良いって言っちゃあオシマイだけどね。

ごめん…オチなんて用意してないんだ。

ほら、またそんな顔する。
クリームついてるよ?
なんてね。
うそうそ。」


(2010 7/30)

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